仏頂面

肉眼という語感の生々しさ

考える二人


つい4日前くらいと言っていい。

私に初の彼氏なるものができた。


出会いは学校の応募で行ったオーストラリアの一週間旅行だった。

私の学校は通信制で、日本全国にキャンパスを持っている。

この旅行はその各地のキャンパスから様々な生徒が集まり総勢40人で行われた。


そこで出会ったのが彼だったのである。


私は元々笑いを取りに行く気質があり、それが男子の波長があったのかもしれない。端的に言えば男子のグループとともにいたことが多かった。

オーストラリア滞在最終日の朝、彼に告白というものをされた。

私はもう一人と彼と、どちらが好きなのか、はたまたどちらもそういう意味では好きではないのかよく分かっていなかった。

ので、彼はふられた。

ので、私はふった。

その日、成田に帰国し 私たちは友達になった。

翌日は彼ともう一人と、東京観光をした。彼等はその日に新潟と名古屋に帰ってしまうからだ。

楽しかった。

長年一緒にいたみたいに、三人で歩いた。


一人が先に帰り、私は彼と二人で歩いた。

家まで送るなんていうジェントルマンなことをしてくれた途中、彼は彼の話をしてくれた。

過去の話は、会って一週間足らずの私に話してくれるには難しいものだったのではないかなと思う。

私の主観ではあるものの。

そのまた翌日、電話越しに私は伝えた。


そして今に至るわけである。


昨夜彼は酔っていた。

甘いものを予想していた甘い私は、いきなり強い炭酸を飲まされたかのように驚いてしまった。

軽口なのか、本心なのか。

会っていまだ二週間たらず。

私は彼を何も知らない。

自信がないと、不安であると、今日彼は言った。

安心させたいと、思う。

安心したいと、思う。

どんな自分も認めてほしくて、二人して足掻いている。


自信のない私たちは、きっとすれ違う。

向こうから彼がやってきて、こっちから私が歩いて行って。

肩さえぶつかれば、なんとでもなる。目線さえ合えば、それに気付ける。

ただ、なににも気づけないことだけが 私は怖いのだ。